大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和38年(う)879号 判決 1964年6月29日

控訴人 原審検察官

被告人 中沢靖 外二名

弁護人 野村高助

検察官 中村正夫

主文

本件各控訴を棄却する。

理由

本件控訴の趣意は六日町区検察庁検察官事務取扱検事阿部太郎名義の各控訴趣意書記載のとおりであり、被告人井口についての答弁は弁護人平岡高志名義の上申書記載のとおりであるからこれらを引用し、これに対し当裁判所は事実の取調を行つたうえ次のように判断する。

各趣意中、本件各ぞうりは新潟県道路交通法施行細則第一六条第二号にいう運転操作の妨げとなる下駄等に該当するとの主張について。

各所論の要旨は、ぞうりを履いて運転することは、ぞうりの構造が底が比較的平らであることは、却つて滑り易いことになり、(被告人中沢の場合ゴム裏であるのでなおさらのこと)又足に密着するといつても鼻緒によつて足と接着しているだけであるから、靴類に比すれば、必ずしも足に固着するとはいえず、従つて足から脱げやすい、又、急ブレーキをかける場合に鼻緒が切れる虞れもあり、且つ、爪先や緒がペタルにひつかかる虞れもあつて、本件各原動機付自転車の運転操作に際し、足から離脱したり、運転操作を誤るおそれの大であることは、容易にこれを認めることができるのであるから本件各ぞうりは右細則第一六条第二号に該当するというにある。

按ずるに、道路交通法第七一条に基づく新潟県道路交通法施行細則第一六条第二号は「運転操作の妨げとなるような下駄等の履物を用い、自動車又は原動機付自転車を運転しないこと」とあつて、下駄は禁止するが、それ以外の履物については特定することなく運転操作の妨げとなるような履物という丈であつて、可成り漠然とした規定でこれを解釈、遵守する上において困難を感ずることを否定し得ない。

ところで、先ずいわゆる「履物」を考えて見るのに、例えば、靴、サンダル(被甲履物類)、下駄、ぞうり(鼻緒履物類)といわれるそれぞれの種類について見ても、その形状は勿論、資材、構造、機能等の差異からして多種多様のものがあることはいうをまたない。また、新古、使用度からすればその強弱の差甚しいものがある。すると、右細則第一六条第二号の下駄以外の履物については概括的、類別的呼称、観念をもつてこれに該当するや否やを決すべきでなく、個個具体的に当該車輛とその際用いられた履物について運転操作の妨げとなるかどうかを判定すべきものと当裁判所は考える。

一般的にいつて、ぞうりについて検察官所論の如き属性があることはその通りである。しかし、各本件の場合はどうであろうか。

先ず、被告人坂大は、ヤマハ、一九六〇年型、一二五c、cの第二種原動機付自転車の運転に、当裁判所昭和三八年押第一四七号のぞうりと同種のもの(爪先が約一糎、踵の方が約二糎の厚さで、材質は堅目のスポンジが主となつていて、上側がビニール、底が合成樹脂、緒は外側が布、中は麻である)を用いたというのである。当審鑑定人ヤマハ発動機株式会社技術員津村重行の鑑定の結果によれば右原動機付自転車を右ぞうりを用いて運転しても、運転操作の妨げとはならないことが認められ、後記倉地、佐藤各鑑定人の鑑定の結果も同様である。次に、被告人井口は、チヤンピオン、五五c、cの第二種原動機付自転車の運転に、当裁判所昭和三八年押第一四六号のぞうり(爪先が約一糎、踵の方が約二糎の厚さで、材質はスポンヂが主で表と底にゴムが張つてあり、緒は外側がゴム、中は麻である)を用いたというのである。当審鑑定人ブリヂストンタイヤ株式会社チヤンピオンサービス課技術員佐藤宗明の鑑定の結果によれば、前同様、右自転車を運転するに際し、右ぞうりを用いても運転操作の妨げとはならないことが認められ、前記津村、後記倉地各鑑定人の鑑定の結果も同じである。さらに、被告人中沢は、スーパーカブ、五〇c、c第一種原動機付自転車の運転を、当裁判所昭和三八年押第三三三号のぞうり(台は平均に約一糎、台、緒とも一体化したゴム製のものである)を用いたというのである。当審鑑定人本田技研工業株式会社技術員倉地祐治の鑑定の結果によれば、右自転車を右ぞうりを用いて運転しても、運転操作の妨げとならないことが認められ、前示、津村、佐藤各鑑定人の鑑定の結果も、また、同様である。

以上各認定に反する当審鑑定人の鑑定の結果、各件についての原審証人の供述等は採用できない。検察官提出の全証拠を以てするも右各認定を覆し得ない。

以上の次第で本件各ぞうりはいずれも前記細則第一六条第二号に該当しないものといわなければならない。従つて、本件各ぞうりが同細則に該当することを前提とする検察官のその余の控訴の趣旨については判断の必要がないこととなる。

原判決は、当裁判所と見解を異にする点もあるが、結果は本件をすべて無罪としたものでその結論は正当であり、検察官の各控訴は理由がないので刑事訴訟法第三九六条によつてそれぞれこれを棄却する。

なお、付言するが前段説示によつて明らかであるように、当裁判所はすべてのぞうりが前記細則第一六条第二号に当らないと解するものではなく、本各被告事件は有罪となし得ないというに止るものであり、また、前示佐藤鑑定人が指摘するように、ぞうりを履いて特に素足でこれを履いて原動機付自転車等を運転することは決して好ましいことではなく、できる丈長靴を用い手袋をつけて運転することが望ましいと考えるものである。

よつて主文のように判決する。

(裁判長判事 小林健治 判事 遠藤吉彦 判事 吉川由己夫)

原審検察官の控訴趣意

原判決は、「被告人が昭和三十七年八月十六日午後五時十分ころ、新潟県北魚沼郡小出町大字小出島五百二十九番地附近道路において、第一種原動機付自転車を運転するに際し、運転操作にさまたげとなるようなサンダルを用いて運転したものである。」との公訴事実について、被告人が当時使用していた履物はサンダルであつたとの点を認めるに足る確証はないと判示し(この点については検察官として強いて争うものではない)結局原判決は被告人の当時用いていた履物はゴムぞうりであつたと認定し(この点について原判決は被告人のゴムぞうりを用いていたとの弁疏につき考察するにと冒頭書をなしこれを前提として説示したに止まり被告人のはいていた履物はゴムぞうりであるとの認定はしていないが、判文全体の趣旨よりその認定があつたものとして述べることとする)被告人がゴムぞうりを履いて第一種原動機付自転車を運転したという客観的事実はこれを認めながら、「被告人は、該ぞうりが規則により使用を禁止された履物であることの認識を欠くから結局犯意を阻却すると認め、本件は犯罪の証明がない。」として無罪を言渡したが、右公訴事実を無罪とした原判決は、先ず第一次的に、道路交通法第七十一条第一項第七号に基づく新潟県道路交通法施行細則(以下「規則」と略称)第十六条第二号にいわゆる「下駄等の履物」には、本件「ぞうり」を含まない、とした点において、同条項の解釈適用を誤つたものであり、第二次的に、「犯意を阻却し、犯罪の証明がない」とした点は、刑法第三十八条第三項の解釈適用を誤つた違法があり、それらの誤りは、いずれも判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、原判決は到底破棄を免れないものと信ずる。

一、その理由を述べるに先立ち、原判決が、本件公訴事実について、無罪を言渡した理由を要約すれば、

イ、先ず、「本件ゴムぞうりは、底が比較的平らであり、柔軟性もあつて足に密着し、鼻緒の先を足指の間に挾んで履くものであるから、下駄・サンダル等の履物に比べれば、自動車等の運転操作に格別さまたげとなるような履物であるとは考えられない。」と判示しているが、このことは換言すれば、本件「ゴムぞうり」は、前記規則にいわゆる「自動車等の運転操作にさまたげとなるような下駄等の履物」と解することはできない、という趣旨となる。

ロ、次に、「仮に、被告人の使用したゴムぞうりが、前記規則にいわゆる『下駄等の履物』に該当するとしても、被告人は該ぞうりが同規則により使用を禁止された履物であるとの認識を欠いたものというべきであるから、結局犯意を阻却するものといわねばならぬ、従つて本件は犯罪の証明がない。」

というのである。

二、しかしながら、本件ゴムぞうりは、前記規則にいう「運転操作にさまたげとなるような下駄等の履物」に該当すると解釈すべきであるし、又、被告人は、本件「ゴムぞうり」そのものを十分認識して、はいて、原動機付自転車を運転していたのであるから、犯罪構成要件的事実の認識に欠けるところはなく、犯意の成立には、違法の認識を要しないとすること判例であるから、いかなる点よりするも、原判決のいうごとく犯意を阻却する理由はない。

以下にその理由を述べる。

1、新潟県道路交通法施行細則第十六条第二号は、「運転操作にさまたげとなるような下駄等の履物を用い、自動車または原動機付自転車を運転しないこと」と規定している。原判決は、同規則にいう「運転操作にさまたげとなるような下駄等の履物」の範囲について、「一般に使用される履物のうち、自動車や原動機付自原転車の運転操作上最も不適当な履物である下駄を例示的に掲げ、その他これに類する履物の使用をも禁止する趣旨であることはその規定上明らかである。従つて通常の履物のうち足駄は、固より、兎角脱げ易いサンダルとかスリツパ又はツツカケと称する種類の履物を使用して運転することも同履物の形状性能からして禁止の対象となるものと解するのが相当である。」と判示しながら、本件ゴムぞうりについては、「右に掲げた履物と異なり、底が比較的平らであり、しかも柔軟性もあつて足に密着し、鼻緒の先を足指の間に挾んで履くものであるから、下駄サンダル等の履物に比べれば、自動車等の運転操作に格別さまたげとなるような履物であるとは考えられない。」としているのである。

イ、しかしながら、ゴムぞうりを履いて運転することは、ゴムぞうりの構造が底が比較的平らであることは、却つて滑り易いことになり、又、足に密着するといつても、鼻緒によつて足と接着しているだけであるから、靴類に比すれば、必ずしも足に固着するとはいえず、従つて足から脱げやすいし、又、急ブレーキをかける場合に鼻緒が切れる虞れもあり、且つ、爪先や緒がペタルにひつかかる虞れもあつて、本件第一種原動機付自転車の運転操作に際し、足から離脱したり、運転操作を誤るおそれの大であることは、容易にこれを認めることができるのである。

ロ、現に、新潟県警察本部交通課に勤務し交通取締・指導等の職務を担当している証人中村幸作は、「ぞうり・サンダル等は靴に比較して脱げ易いし、脱げないまでも脱げそうになつたのを元に戻そうとすれば、それだけ注意力が散漫になるし、特に単車を運転しているときは、乗馬の姿勢に大変酷似して、太股を内側にしめるようにし、爪先は少し浮き気味の状態になるのであり、したがつて平坦な土地の上に立つている状態とは違つて、サンダル、ぞうり等を履いて単車を運転することは、非常に安定性を欠き、殊に道路の悪いところでは、振動が激しいから、なお危険を伴う。」旨証言し(本件と併合審理された坂大敏彦記録第三〇丁以下)、

ハ、また自動車学校構造講師をしている証人池田秀之助は、「ぞうり、サンダル等を履いて運転することが危険であることは多分に考えられる。まず、足に固着していないことである。固着していないと何故危険かというと、ブレーキの踏み違いを起したり、又ブレーキの反応時間にも当然影響してくるということが考えられる。……車の種類からすれば当然二輪車の方が他の車より危険度が高い。……脱げ易いことが第一因であり、その点から色々な危険が派生すると思う。例えば、脱げて落ち、そのために注意力がそれに奪われる。落ちれば後続車にも危険が及ぶ等で、特に二輪車の場合は運転中にも、しばしば地面に足をつく場合が多いから、なお危険だと思う。」旨証言している(前記坂大敏彦記録第三八丁裏以下)のである。

ニ、本件第一種原動機付自転車を被告人に売渡した自転車修理販売業星野国市は、検察官に対し、ブレーキペタルを踏んで急停車するには、相当足先に力を加えなければならないから、鼻緒の切れない、脱げない履物をはいて運転すべきであり、車には泥除けがあるが、雨降にはペタルも履物も濡れるので、脱げないような踵に接着した履物を用いて運転しなければならない。ゴム草履を用いてスーパーカブ五〇ccを運転することは、ゴム草履が運転している者の足の踵に常に密着していないので、運転操作には危険が伴うものと思われる。旨供述し、(記録第七五丁裏以下)、

ホ、日本通運株式会社新潟支店の作業指導係長をしている田中良一は、検察官に対し、「スーパーカブを草履ばきで運転する場合、自分の経験にもとづいて話すと、この車は足で操作するものは右側にブレーキペタル、左側にチエンジレバーがあり、足を乗せるステツプバーが左右についています。ブレーキペタルの操作は、靴ならば踵がついているので底が棒ステツプにかかつておるから、ブレーキペタルを踏む際、足を踏みはずしたりペタルを超えて前方に踏み出るようなことはないが、草履では、たとえ、鼻緒がついているとはいえ、踵がないから、いきおい滑べる可能性が充分あり、この場合、人間の習性として斜め右側へ力が入るので、従つて、斜め右側へ滑る傾向が強く、又、前方のフエンダーまで滑り込むことがある。ペタルを踏みはずしたり、前方に踏み超えた時は、足の踏み込みがきかないからブレーキの効力がきかないので一番危険である。ブレーキを踏む足は、草履ばきの場合は、親指とその少し先の下方の部分であつて、そこで強くペタルを踏み込むのであるが、草履は靴と違つて裏が軟らかいので力が入りにくい、もし、強く力を入れると前に述べたようにペタルを踏み超えてしまつて制動できない。バイクのブレーキの踏みしろは通常二糎であり、これ以上大きくなると余計に踏み込まなければならないので滑ることが多い。……特に、急制動をかけるときは突嗟の操作が充分うまくゆかず滑る危険がある。旨供述している。(記録第七九丁裏以下)。

ヘ、しかも、被告人が運転した本件第一種原動機付自転車は、「スーパーカブ五〇cc」で、運転操作は右足でブレーキを、左足でチエンジレバーを操作する車であり(記録第七四丁以下)、ブレーキペタルの大きさは煙草ピース箱半分大のものであるが(記録第七五丁)、被告人の履いていたぞうりは、俗にいう万年ゴムぞうりであつて、本件当時かなり使い古されたものであることは、その形状並びに被告人の公判における供述によつて明らかである(記録第一〇丁以下)。

従つて、被告人が本件犯行に際し履いていたゴムぞうりは、足から脱げ易く、又、底が比較的平面なため滑りやすい構造のものであり、殊に、雨降の場合や、凹凸のある道路上で運転する場合には、煙草ピース箱半分大の小さなブレーキペタルを踏むとき滑つたり、ゴムぞうりの底がブレーキペタルから浮いて踏み違いを起し、事故を起す蓋然性が大きいのであつて、本件ゴムぞうりは、この点においては、いわゆるツツカケ、スリツパ等と比較し、何等差異はないものと云わなければならない。現にぞうりを履いて自動車を運転し、とつさにプレーキを踏もうとした際、ぞうりが滑つて、ブレーキペタルを踏みはずし、人身事故を起した事例もあるのである。(前記坂大敏彦記録第七四丁)。

第一種原動機付自転車の「運転操作」というのは、いうまでもなく、発車・停車・速度の緩急・方向の転換の各操作を指称することは勿論であるが、更に運転進行中の状態そのものをも包含するものである。しかるに道路の状態は千差万別で、すべて鋪装された道路とは限られないし、又、天候も雨降りの場合もあるのである。従つて、ゴムぞうりを履いて運転進行することが多くの危険を伴うものであり、運転操作にさまたげとなるような履物であることは、明らかである。

従つて、本件ゴムぞうりが規則にいわゆる「下駄等の履物」に該当することは明らかであるにかかわらず、これを該当せずと判示した原判決は、この点において同規則同条項の解釈適用を誤つたものであると断ぜざるを得ない。

2、次に原判決は、仮に、被告人の本件ゴムぞうりが、規則にいわゆる「下駄等の履物」に該当するとしても、被告人には犯意がない、と判示している。すなわち被告人が、「ぞうりを履いて原動機付自転車を運転してみて、ゴム長靴と運転操作上大した差はないと思う。」旨の供述(記録第一一丁)、及び前記規則が単に「下駄等の履物」と規定したに止まり、ぞうりがその履物に含まれる旨を明らかに規定していないこと等を理由として、結局、「被告人は、該ぞうりが、同規則により使用を禁止された履物であることの認識を欠いたものであるから、結局犯意を阻却すると認め、本件は犯罪の証明がない。」と判示し犯意の成立には犯罪構成要件に該当する事実の認識の外違法の認識をも必要とする解釈の下に本件被告人には右違法の認識がなかつたから犯意を阻却するとしているのである。

しかしながら、原判決は、この点において、以下に述べる理由により、刑法第三十八条第三項の解釈適用を誤つたものと断ぜざるを得ない。

すなわち

(一) 被告人は本件ゴムぞうりを用いて本件第一種原動機付自転車を運転したものであるから、本件ゴムぞうり自体を認識して運転していたことはいうまでもないところである。

しこうして本件ゴムぞうりの構造が、前述の如きものであり、規則にいわゆる「運転操作にさまたげとなるような下駄等の履物」に該当することは、いやしくも原動機付自転車を運転する者ならば、当然容易に理解されるところであり、加うるに被告人が本件犯行に際し使用したゴムぞうりは家人の誰彼れなくみんなが使用していた相当使い古されたものであるばかりでなく、被告人自身が、ぞうりを履いて第一種バイクを運転して危いという認識を持ちながら、本件ぞうりを履いて運転していたものであるから(記録第一一丁、一二丁)本件原動機付自転車の運転操作に妨げとなるような履物を用いて運転したことの認識すなわち、犯罪構成要件たる事実の認識については何等欠けるところがなかつたものといわねばならない。

(二) 刑法第三十八条第一項及び第三項にいう「罪ヲ犯ス意」の成立に、いわゆる事実の認識のほかに、更に違法の認識をも必要とするかについては、学説の分れるところであるが犯意の成立には犯罪構成要件に該当する具体的事実を認識すれば足り、その行為の違法を認識することを要しないと解するのが相当であつて、判例もまた、一貫してこの態度をとつており、犯意の成立に違法の認識を必要としないことは、自然犯であると行政犯であるとを問わない、又その違法の認識を欠いたことにつき過失の有無を問うを要しないと判示しているのである(昭和二十三年七月十四日最高裁判決集第二巻第八号第八八九頁・昭和二十四年十一月二十八日最高裁判決集第四巻第十二号二四六三頁・昭和二十六年十一月十五日最高裁判決集第五巻第十二号二三五四頁参照)

従つて、原判決は、これらの最高裁判所の判例に相反して、刑法第三十八条第三項の解釈適用を誤つたものであると断じなければならない。

以上の次第であつて、本件公訴事実を無罪とした原判決は、法令の解釈適用を誤り、その誤りが判決に影響を及ぼすことも又明らかであるから、いずれの点よりするも破棄を免れないと信ずるので、原判決を破棄し、改めて相当の裁判を求めるため本件控訴に及んだ次第である。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例